エンシトレルビルフマル酸錠125mgと併用禁忌薬

 先日薬局でエンシトレルビルフマル酸錠125mg(商品名:ゾコーバ錠125mg)の処方箋を受け付けたのですが、他院にてアゼルニジピン錠16mgを服用している患者さんでした。すぐに疑義照会したのですが、「ゾコーバ服用中はアゼルニジピンを中止して」との返答でした。


知識がなく即答できたなかったのですが、何となくゾコーバの代謝阻害効果時間は長かったような記憶があり、添付文書を見てみるとt1/2が51.4時間と体内に長く留まる薬剤である事が分かりました。



また、ゾコーバ(エンシトレルビル)の薬物相互作用マネジメントの手引き一第1版一には「本剤を反復投与した場合(エンシトレルビルとして 1 日目は 375 mg、2 日目から 5 日目は125 mg)、健康成人におけるエンシトレルビルの半減期は、51.4 時間と長いため本剤のCYP3A 阻害効果は、服用初日には直ちに現れず、投与期間中に徐々に強くなり、薬剤中止後 2 週間程度かけて徐々に低下すると考えられる。したがって、薬剤中止後もしばらくは相互作用に注意を要する。」、「ゾコーバの治療期間 5 日間及び治療終了後少なくとも 1 週間程度は、薬物相互作用マネジメントを考慮する必要がある。また、半減期の長い薬物を併用した場合には、それ以降も注意する必要がある。」とあり、最低でも12日間(服用期間5日と薬物相互作用の考慮期間7日)は休止する必要があります。



さらに、メーカーにも問い合わせたのですが「併用禁忌薬を休薬してゾコーバを開始する際は、併用禁忌薬を服用した当日はゾコーバを服用せず翌日から服用開始とし併用禁忌薬を中止することが望ましい。」との回答を得ました。



当日併用禁忌薬を服用していれば、ゾコーバの服用開始時期がずれ、発症から3日以内の服用に影響が出る可能性があることや、 休止する薬剤によっては休止による影響を考慮しなければならず、総合的に判断し休薬が妥当か評価する必要があります。



ゾコーバの服用終了後1週間は相互作用の影響を受けると考え、その期間の休薬のリスクとコロナによるリスクのどちらを取るのか医師に確認したうえでの休止が望ましいと考え、再度その旨を医師に伝えました。



返答は、

「そんなに休薬が必要ならモルヌピラビルカプセル200mg(商品名:ラゲブリオカプセル200mg)に変更しといて」

との事でした。



休薬期間がそんなに長くなるとは思わなかったのでしょう。ちなみにこの患者さんは大動脈解離の既往もあり血圧コントロールは必須なので安易なアゼルニジピンの休薬はリスクが大き過ぎるでしょう。それなのに他院の薬を中止してという当初の指示もどうなのかと思ってしまいました。。



コロナ治療薬の公費が外れてから、一番薬価の安いゾコーバの使用頻度が増えてきた実感があるため、今後もこう言った指示があった時は注意しようと思える出来事でした。

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