エンシトレルビルフマル酸錠125mgの効果

前回エンシトレルビルフマル酸塩錠125mg(商品名:ゾコーバ錠125mg)について取り上げたので今回も少し掘り下げてみました。


国内初の経口新型コロナ治療薬としても話題となりましたが、その効果について他の経口新型コロナ治療薬とは主要評価項目が異なります。



ラゲブリオカプセルやパキロビッドパックの主要評価項目は入院又は死亡割合に対し、ゾコーバはSARS-CoV-2による感染症の5症状が快復するまでの時間となっている。



プラセボと比較して24.3時間(約1日)短縮されたとされ、感覚的には抗インフルエンザウイルス治療薬のように思えるが実際の効果としては、



5症状が軽快するまでの時間はゾコーバ群:167.9時間、プラセボ群:192.2時間であり、8日間から7日間にする効果である。



7日間!!??



薬を服用しなくてもそれくらいで回復しそうな感じではあるが、、



さらに、日本人を対象にしたデータでは、



ゾコーバ群:165.8時間、プラセボ群:172.1時間であり、その差は6.3時間である。



6.3時間早く治す効果があるのは臨床的にもはやどうなんでしょうね。。



さらに、開鍵(盲検解除)直前に主要評価項目や有効性の主要な解析対象集団等の変更(12症状→5症状)を行った1)とされており、臨床試験結果の信頼性に疑いを持ってしまいます。当初の12症状では有意差が出なかったからなのですが(^_^;)



重症化リスクにある患者に使用するには意味がないし、そうでなくても効果があるのかさえ怪しいものである。と散々なものであるが、Long COVIDの発現を抑制する研究も出てきており単なる症状改善を図る薬だけでは無さそうである。2)



罹患後症状(Long COVID) はCOVID-19罹患後に感染性 SARS-CoV-2ウイルスの鼻咽腔からの排出がないにもかかわらず、急性期から持続する症状や経過途中から新たに生じて持続する症状全般とされており、新型コロナ感染症の新たな問題である。



治ったと思ってもスッキリせず、その後も不調に悩まされる人も一定数いるのではないでしょうか?そういった事にならないようにする効果もあるかもしれないですね。



薬の効果を考える時に多角的に捉えて判断しなければならないと勉強になりました。



参考資料

1) ゾコーバ錠125mg_塩野義製薬株式会社_審査報告書

2)Precision Medicine Vol.6 No.4: 291-299, 2023


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